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速攻で振られた僕の復縁戦略物語 第3話

復縁戦略物語のアイキャッチ。背中合わせの男女と割れたハートに差す光が希望を表す。

赤井くん
赤井くん
いよいよ“天変地異”を動かしたんだろ?どうなった?

青井くん
青井くん
ああ、ポスターを送って、さらに動画も仕掛けた。ちゃんと既読になったんだ。しかも動画は4分以内に。あの瞬間は確かに届いたと実感したよ。

天変地異の幕開け

未読無視の痛みを抱えたままでは終われない。
そこで考え出した切り札が「天変地異」をテーマにした連続企画だった。
まずはインパクトを与えるポスターを作り、次に短い動画で「これから始まる物語」を告げる。

送信ボタンを押す指は震えていた。
相手のスマホに映し出されたとき、どんな反応になるのか──想像すると心臓が高鳴った。

一瞬の既読と高揚感

結果は思った以上に早く訪れた。
ポスターは既読になり、さらに動画は送ってわずか4分で開かれていた。

「見てくれたんだ」
その事実だけで胸が熱くなった。ほんの一瞬でも、心の中に自分の存在を思い出してもらえた気がした。

たとえ短い時間でも、繋がりが再び蘇ったように感じられた。
その夜は久しぶりに前向きな気持ちで眠りにつくことができた。

断絶のサイン

しかし、希望は長くは続かなかった。
数日後、これまで何気なく続いてきた小さな接点──オンラインゲームのフレンド関係が突然解除されていたのだ。

付き合っていた頃からずっと残っていた唯一の細い糸。
その絆が切れたことは、言葉にできないほどの衝撃だった。

「届いた」手応えは、ほんの蜃気楼だったのかもしれない。
希望と現実、その落差に胸が締めつけられた。

最後の試みと未読無視

それでも諦めきれず、最後に一通だけ送った。

「コンテンツが重かったらごめん。少しだけ電話で話せない?」

正直に謝り、会話のきっかけを残そうとした。
だが、そのメッセージは未読のまま時が止まった。
画面に沈黙だけが積み重なり、作戦は完全に失敗に終わった。

失敗から見えた真実

痛みは大きかったが、学びもあった。
一瞬でも動画を見てもらえたという事実は、「完全に拒絶されているわけではない」という証拠でもある。

同時に、相手が望む距離感は僕の想像よりもはるかに遠いことも突きつけられた。
無理に近づこうとすれば、逆に離れてしまう。
復縁とは、ただ努力や戦略を積み重ねれば手に入るものではなく、相手のペースを受け止めることが不可欠だと知った。

まとめ ― 沈黙の時間へ

天変地異の企画は、一瞬の既読を残しただけで終わった。
残されたのは、消えたフレンド関係と未読のままのメッセージ。

試みは確かに失敗だった。けれど挑戦したからこそ、自分が置かれている現実をはっきりと知ることができた。
ここから先は、動くのではなく立ち止まる時間が必要なのかもしれない。

言葉を重ねるよりも、沈黙が教えてくれることもある。
物語はいったん幕を下ろし、静かな時間へと移っていく。

赤井くん
赤井くん
……切ないな。でも、動かない選択も勇気なんだな。

青井くん
青井くん
ああ。今は沈黙の中で、自分を整えるしかない。続きは、またいつかだ。